話題にしにくいテーマです。

妻にも、同僚にも、相談しにくい。

だから、ひとりで「年だから仕方ない」と片づけてきました。

ただ、調べていくうちに、これは「ただの年齢」だけの話ではないことが分かってきました。

朝立ちは、男性の身体の状態を映す、わかりやすい指標のひとつです。

ただ、このテーマは検索するだけでも少し抵抗があります。

画面を誰かに見られたくない。

家族にも話したくない。

でも、自分の中ではかなり気になっている。

40代男性の不調は、こういう「誰にも言えない小さな不安」から始まることが多い気がします。

1. 朝立ちは「健康な体の証」と言われる理由

朝立ちは、医学的には「夜間陰茎勃起(NPT)」と呼ばれる現象です。

睡眠中、特にレム睡眠の時間帯に、自然に勃起が起こります。

これは、意識や性的興奮とは無関係に起きるもので、勃起機能そのものの「点検」のような役割を持っています。

つまり、朝立ちが起きている=勃起機能の血管・神経・ホルモンが正常に働いている、と考えられます。

逆に、朝立ちが極端に減っている場合は、これらのどこかに変化が起きている可能性があります。

もちろん、1日や2日なくても、それだけで深刻に考える必要はありません。

睡眠不足、飲酒、ストレス、疲労。

その日のコンディションだけでも、朝の状態は変わります。

見るべきなのは、単発ではなく「傾向」です。

2. 年代別の頻度データ

朝立ちの頻度は、年齢とともに自然に減ります。

複数の調査によると、おおよそ次のような傾向が報告されています。

  • 30歳未満:約半数の男性が「いつも」「しばしば」気づく
  • 40代後半:「いつも」「しばしば」が約2割まで低下
  • 60代後半:約1割強

つまり、40代後半で「以前ほどない」と感じるのは、ある程度自然な変化ではあります。

ただ、「ほぼゼロ」「半年に1回」というレベルになると、加齢だけでは説明しきれない領域に入ってきます。

私が引っかかったのも、ここでした。

「減った気がする」ではなく、「そういえば、いつからほとんどないんだろう」と感じたことです。

ぼんやりした不安は、期間で見ると少し具体的になります。

3. テストステロン低下との関係

朝立ちの頻度に最も影響するのは、男性ホルモン(テストステロン)の値です。

テストステロンは、30代後半から年に1〜2%ずつ減少していくと報告されています。

40代後半では、20代の頃の70〜80%程度まで下がっている男性が珍しくありません。

このホルモンは、勃起機能だけでなく、筋肉量・気力・集中力・睡眠の質にも関わります。

つまり、「朝立ちが減った」という変化は、テストステロン低下のひとつの「見える指標」と考えることができます。

ここで誤解したくないのは、朝立ちが減ったら必ずテストステロンが低い、という話ではないことです。

血管、神経、睡眠、ストレス、薬の影響など、原因はいくつもあります。

ただ、疲労感、やる気の低下、筋力低下、腹部脂肪の増加も同時にあるなら、男性ホルモンの視点を入れて考える価値はあります。

4. 睡眠とテストステロンの関係

ここで見落としやすいのが、睡眠の影響です。

ある研究では、5時間未満の睡眠が1週間続くだけで、健康な若年男性のテストステロン値が低下することが報告されています。

つまり、睡眠不足が続いている期間は、年齢に関係なく、男性ホルモンが下がる方向に動きます。

朝立ちが減ったと感じたとき、まず確認したいのは「ここ1〜2ヶ月の睡眠時間」かもしれません。

私の場合も、振り返ると睡眠はかなり崩れていました。

寝る直前までスマホを見る。

仕事のことを考えたまま布団に入る。

夜中に一度起きて、そのまま浅い眠りになる。

これでは、朝の状態だけを責めても意味がないと感じました。

5. 受診を検討すべき4つのサイン

朝立ちの頻度減少が、加齢の範囲を超えている可能性があるサインを整理します。

下記のうち2つ以上に当てはまる場合は、泌尿器科や男性更年期外来での相談を検討する価値があります。

  1. 朝立ちが、半年以上ほぼ起きていない
  2. 性的興奮があっても、勃起が維持できないことが増えた
  3. 疲労感、イライラ、気分の落ち込みが慢性的にある
  4. 運動・筋トレをしているのに、体重・筋肉量に変化がない

6. 受診前に整理しておきたいこと

いきなり医療機関に行くハードルは、正直、高いです。

ただ、受診前に下記を整理しておくと、診察がスムーズになります。

  • 朝立ちが減り始めたおおよその時期
  • ここ半年の睡眠時間、ストレス、生活習慣の変化
  • 体調全般(疲労感、気分、性欲、体型)
  • 服用中の薬・サプリメント

詳しくは、別記事「男性更年期かもと思ったら|受診前に整理すべき5つのこと」で受診先の選び方も含めて整理しています。

特に、朝立ちの話は診察室で言い出しにくいです。

だから、口で説明するより、メモにしておくほうが楽です。

「半年ほど前から、朝立ちが週1回以下になった気がする」。

このくらいの書き方で十分です。

7日だけ記録してみる

受診するかどうかを決められない場合、まず7日だけ記録してみる方法があります。

記録するのは、細かい医学的なことではありません。

  • 睡眠時間
  • 夜中に起きた回数
  • 飲酒の有無
  • 朝立ちの有無
  • 日中の疲労感

これだけでも、「たまたま」なのか「続いている変化」なのかが見えやすくなります。

不安を頭の中だけで抱えるより、数字とメモに落とす。

40代の体調管理は、そこから始めたほうが現実的だと思います。

8. 自分で取り組める3つのこと

受診の前に、または並行して、生活面で取り組めることもあります。

① 睡眠を7時間確保する

テストステロンは、深い睡眠中に分泌が増えます。

7時間以上の睡眠を確保することで、ホルモンの土台を整えやすくなります。

② 自重トレを週2〜3回

特にスクワットなど、下半身の大きな筋肉を使うトレーニングは、テストステロンの分泌を促すと報告されています。

③ アルコールを減らす

飲酒は、テストステロン分泌を抑える方向に働きます。

毎晩の飲酒を週3〜4日に抑えるだけでも、ホルモンバランスへの影響は変わってきます。

9. 出典

  • 日本Men's Health医学会「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)診療の手引き」
  • 厚生労働省「e-ヘルスネット — 男性更年期障害」
  • Leproult R, Van Cauter E. "Effect of 1 week of sleep restriction on testosterone levels in young healthy men." JAMA. 2011

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