疲れが抜けない。
やる気が出ない。
イライラが増えた。
性機能の衰えを自覚する。
これらの症状が重なってきたとき、頭をよぎる言葉が、男性更年期です。
ただ、いざ受診を考えると、いくつもの疑問が出てきます。
何科に行けばいいのか。
費用はどのくらいかかるのか。
そもそも、自分は本当に受診すべき段階なのか。
ここでは、これらの疑問を5つの項目に整理して、受診前のチェックリストとしてまとめます。
男性更年期の難しさは、症状が仕事や家庭の中に紛れてしまうことです。
朝から疲れているのは、繁忙期だから。
イライラするのは、部下や家族との相性のせい。
性機能の変化は、年齢だから仕方ない。
そうやって説明できてしまうので、病院に行く理由がなかなか立ちません。
でも、半年以上続いているなら、それは「気のせい」で片づけるには長すぎると私は感じます。
1. 受診先:何科に行けばいいか
男性更年期(LOH症候群)の診断・治療は、主に下記の3つの選択肢があります。
① 男性更年期外来/メンズヘルス外来(最優先)
男性更年期に特化した専門外来です。
AMSスコア問診、テストステロン値の測定、生活指導、必要に応じてホルモン補充療法(テストステロン注射等)まで、一貫して対応してくれます。
ただし、数がまだ多くないため、住んでいる地域によっては通いにくい場合があります。
予約前には、血液検査を当日できるか、保険診療に対応しているか、オンライン初診に対応しているかを確認しておくと安心です。
② 泌尿器科
男性更年期は、泌尿器科でも診療されている分野です。
多くの泌尿器科で、LOH症候群の問診・血液検査・治療を行っています。
性機能の悩み(朝立ち、ED)が主な症状の場合は、泌尿器科が自然な選択肢です。
「男性更年期外来」と名前がついていなくても、泌尿器科で相談できる場合があります。
クリニックの診療内容に、LOH症候群、男性更年期、ED、テストステロン検査などの記載があるかを見ておくと判断しやすいです。
③ 心療内科・精神科
気分の落ち込み、強い不安、不眠が主症状で、身体症状より精神症状が重い場合は、心療内科・精神科のほうが適しているケースがあります。
うつ病との鑑別が必要なケースもあるためです。
反対に、気分の落ち込みだけでなく、朝立ちの減少、筋力低下、腹部脂肪の増加が重なっているなら、ホルモン面も一度見ておきたいところです。
2. 検査内容:何をされるのか
受診で行われる検査は、基本的に下記の流れです。
- 問診(AMSスコアという男性更年期向けの質問票への記入)
- 血液検査(総テストステロン、遊離テストステロン、PSA等)
- 必要に応じて、その他の血液項目(肝機能、腎機能、血糖、脂質)
- 身体診察(血圧、体組成測定)
テストステロン値は、日内変動が大きいため、午前中(特に11時まで)に採血するクリニックがほとんどです。
初診時間は、おおよそ30〜60分程度を見ておくと安全です。
ここで大事なのは、検査そのものより「医師に何を伝えるか」です。
診察室に入ると、言いにくいことはだいたい後回しになります。
性機能、気分の落ち込み、家族との関係。
こういう話ほど、その場でうまく言葉にできません。
だから、受診前にメモを作っておく意味があります。
3. 診断基準:何で判断されるか
日本Men's Health医学会のガイドラインでは、下記が診断の主な基準とされています。
- AMSスコアで一定以上の症状がある
- 総テストステロンが 250ng/dL未満(または遊離テストステロンが 8.5pg/mL未満)
- 他の疾患(甲状腺機能異常、うつ病等)が除外されている
これらが揃った場合に、LOH症候群と診断されます。
症状があっても、テストステロン値が正常なら、LOHではなく別の原因を疑うことになります。
つまり、受診は「男性更年期だと決めに行く場所」ではありません。
男性更年期なのか、違う原因なのかを切り分ける場所です。
私はここを理解してから、少しだけ受診のハードルが下がりました。
4. 費用の目安
初診の費用は、保険適用かどうかで大きく変わります。
保険適用の場合
問診+一般的な血液検査の範囲なら、3割負担で 3,000〜6,000円程度が目安です。
ただし、男性更年期外来のうち、自由診療のみのクリニックでは保険が使えません。
自由診療の場合
初診料 5,000〜15,000円、血液検査 1〜2万円、合計で 1.5〜3万円程度が一般的なレンジです。
より詳しい検査(オプション)を追加すると、3〜5万円になる場合もあります。
治療開始後
ホルモン補充療法(テストステロン注射)を行う場合、月1〜2回の通院で、月額1〜3万円程度が目安です。
内服薬や生活指導のみの場合は、月数千円〜1万円のレンジに収まることが多いです。
5. 受診前に準備しておきたい5項目
受診当日、医師との会話を有意義にするために、下記を整理しておくと役立ちます。
- 症状の経過:いつ頃から、どんな症状が、どんなペースで出てきたか
- 生活習慣:睡眠時間、運動習慣、飲酒、食事のおおよその内容
- 仕事・家庭のストレス:最近の大きな変化、慢性的な負担
- 家族・パートナーからの指摘:イライラ、気分、体型、性機能などで言われたこと
- 服用中の薬・サプリ:すべての薬・サプリ・健康食品をリスト化
これらを箇条書きで紙にまとめて持参すると、診察時に伝え忘れがなくなります。
きれいな文章にする必要はありません。
たとえば、こんな形で十分です。
- 半年前から朝起きても疲れが抜けない
- ここ3ヶ月、家族にイライラを指摘されることが増えた
- 朝立ちは以前より明らかに減った
- 体重は2年で6kg増えた
- 睡眠は平均5〜6時間で、夜中に1回起きる
医師に見せるというより、自分が話し忘れないためのメモです。
男性の不調は、本人が曖昧なまま抱え込みやすいので、まず言葉にしておくだけでも意味があります。
6. 受診を「決められない」ときの判断基準
私自身、受診を半年以上ためらってきました。
「年齢のせいかもしれない」「もう少し様子を見よう」と、ずっと先送りにしてきたのが正直なところです。
ただ、決断のきっかけとして、こんな判断基準があると思います。
- 症状が、生活の質を明らかに下げている(仕事のパフォーマンス、家族関係、睡眠)
- セルフチェック(男性更年期セルフチェック10項目)で、半数以上の項目に当てはまる
- 朝立ちが半年以上ほぼ起きていない
- 半年以上、症状が続いている
これらに該当しているなら、「もう少し様子を見る」よりも、一度受診して、客観的なデータを取るほうが、状況は前に進みやすいと思います。
受診したからといって、すぐ治療を始めなければいけないわけではありません。
検査だけ受けて、数値を見てから考える。
生活習慣の見直しを先にする。
別の診療科を検討する。
そういう選択肢を増やすためにも、現状把握は役に立ちます。
7. 受診のハードルを下げる工夫
私が調べていて分かったのは、最近は「初診オンライン対応」のクリニックも増えていることです。
初診をオンラインで済ませて、血液検査だけ近くの提携クリニックで行う、というスタイルもあります。
仕事の都合で平日昼間に通院しにくい方は、こうした選択肢を最初に調べてみるといいかもしれません。
ただし、オンラインだけで完結するかどうかは、クリニックによって違います。
血液検査が必要になる場合、提携先での採血や来院が必要なこともあります。
「オンライン対応」と書いてあっても、どこまでオンラインなのかは予約前に確認しておくほうが安全です。
8. 出典
- 日本Men's Health医学会「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)診療の手引き」
- 日本内分泌学会「男性更年期障害(加齢性腺機能低下症、LOH症候群)」
- 厚生労働省「e-ヘルスネット — 男性更年期障害」